君の顔が好きだって言え!

 

直接ではないけれど昔、「優しいだけの男は飽きた」と言われたことがあって(ドイヒ〜!)、それを境に僕の身体のど真ん中に立つ揺るぎない柱だった「やさしさ」とかいうものが、鈍い音を立てて、ぐにゃりと折れたような気がした。

 

 

優しいだとか良い人だとかいつのまにか言われ慣れてしまって、まあそれはそれでうれしい。優しさとは人生のバックボーンだから。僕たちを飾る最大の修飾だ。クソみたいな(汚い言葉失礼!)社会を生き抜いている人たちが必死で身に付けた武器なのだ。褒められるのはうれしい。優しい人、やさしいままでいてください。

 

でも最近は内面以上に、外見をひとに好きになってもらいたいと思う。

人が好みの話をする時のあの「『見た目が好き』はタブー」みたいな空気はなんなんだろうね。女性に化粧を強いたりしておいてそれはないだろ、と思うのだけど。

誰かの見た目を好きだというのは本能とか、細胞とか遺伝子とかの根源的な理由があるはずで、そこに打算や駆け引きはないし、最も誠実な告白なのでは?と思ったりもする。

たとえば自分より優しい人は当たり前にどこかに存在していて、でも同じ顔の人はいない。オンリーワンだ。それを好きでいてくれるって、素晴らしいことじゃないですか? 少なくとも自分はそんなこと言われたら嬉しいし、相手にも伝えたいと思う。

胸を張って言えばいい、「君の顔が好きだ」と。鼻の形や眉の角度、瞳の色、唇の厚みに額の広さ、輪郭、その他。その造形に感謝すら覚えながら。

それは内面と違って、あなたを裏切ることもない。