もしも女の子になったなら

 

友人に、事あるごとに「生まれ変わったら田舎の美少女になりたい」と言うやつがいて、それは願望というよりうっすらと透ける幻想みたいに儚く、叶うことがないからこそ現実でのコンプレックスを浮き彫りにしているようにも思えた。

生まれ変わって何がしたいのか聞いたことはないし、単に逃避の意味だったのだろうけど、私はその友人にかける言葉も見つけられずいつもただ笑うしかなかった。

「もし女の子になったら何がしたいか」なんて、小学校の卒アルの質問コーナーじゃないんだ。

 

もしウチが女の子になったら、メイクをすると思う。ワンピースばかり着るだろう。そうやって自分を大切にする。

メイクをする女性はみな美しい(もちろんしなくても美しいのだが)し、メイクをする男性は増えつつあるものの、まだまだ世に憚られる存在である。この流れのまま気兼ねなく人前に出れる人が増えたらいい。見た目のコンプレックスなんて馬鹿らしいし、人の見た目を馬鹿にする輩がいることが何より腹立たしい。今そういう輩に前歯が欠ける呪いをかけました。

 

特にリップやネイルは分かりやすいし、目を引く。どちらも男性用のアイテムぅ⤴︎というのは少ないだろうし、身体に色味を取り入れるというのはめちゃくちゃ楽しそうだ。

あるいは、ネイルくらい私もしてみてもいいのかもしれない。

最近ではTwitterに綺麗なかわいいネイルを上げている人を多く見かけるし、なんかちょっと興味はある。似合う似合わないでいうと似合わないだろうし、鼻で笑う人もいるだろうが、なんかそういうのもうええて。やらせてください。

爪が綺麗だとテンションが上がる気持ちはすごく理解できる。以前、職場で指先が汚れる仕事をしていた時は、毎日ボロボロになった爪を見てはため息を吐いたものだ。手の爪ってかなり美意識が出るところっぽい。気を付けよう。

リップはよく分からないのだけど、マットな赤色がめちゃくちゃ良くて、別に買う予定もないのにネットで調べたりした。色んな色があるんだね、おいさん、赤色しかないのかと思ってたよ……

ちなみにjoocyeeの陶器フォギーというのが一等好きだったので、みんな買ったらいいよ。生まれ変わったら僕も買います。

 

こうして「仮想美少女・俺」は完成したのだけど、こんなのやろうと思えば今からだって実践できる。幸いにも馬鹿にしてくる友人はいないし、ネットを通じて先人たちをいくらでも見つけることが出来るだろう。

何か活かせるものが、今の自分にあればいい。件の友人にはそういう貪欲さが足りなかったのかもしれない。

友人よ。生まれ変わったら二人で田舎に住もう。別に美しくなくとも、可憐な少女でなくとも構わないから。世の中にはこんなにも素敵なものがあったのだと、一から見つけていこう。