生活のにおい

 

大掃除、しましたか?

 

このワンルームからは私のにおいがする。

いや、全然、匂いとか臭いとかではなく、そこかしこに生活の痕跡がある。

溢れたビニール袋や買い溜めたお菓子、埃がうっすらと積もった本棚や床に置いたフライパン(最悪)まで、私が暮らす証なのだ。

整理整頓や掃除は苦手だ。それなのに神経質な所もあって一度始めると止まらなくなってしまう。大掃除なんてやろうものならあらゆるものを拭いてしまう。埃を憎んでしまう。さっきまでの自分を恨んでしまったりする。

人は一年に一度狂ったように掃除するのがちょうどいいのかもしれない。

綺麗なのって実は生産性が悪い。部屋が綺麗なやつは仕事ができないしすぐ他人を切り捨てる冷酷さがある。人の物は盗むし咳をする時だけマスクをずらしたりする。もちろん持論だ。

 

掃除からいよいよ逃げられない時間になってきた。今が朝の6時、帰省の時間が10時なのであと4時間。二度寝するとして2.5時間を準備と掃除の時間にあてよう。昨日は寝てしまって計画していた掃除が全然できなかった。

ブログなんて書いてる場合ではない。そういう時にこそブログを書くのだ。急がば回れ。生きるは恥。

 

まあ、年末の大掃除は、やらなきゃいけないなんてことはない。今年が良い年だった人は来年に「持ち越し」た方がよい。全部リセットして綺麗に、なんてちょっと寂しい気もする。

でも確かに、汚いよなぁ。今まで全てが完璧に配置されていた部屋が掃除を始めた途端小汚い小部屋になる。私を責めている。心なしか棚に飾る花が肩身が狭そうである。

どんどん時間が無くなっていく。焦ったら負けだ。己との駆け引きを楽しもう。

 

布団に潜り込む。私のにおいがする。褪せたベッドや飽きたカーテン、積み重なる本や捨て損ねたゴミ袋(最悪)からも。私の生活がある。人間性がある。溢れているものも、欠けているものも、なんだってある。

部屋って身体の内側みたいだ。肉体の奥、恥ずかしくて、大切で、繊細で脆い。ああ、だから、綺麗にするのか……