昨日観た映画の話

 

百万円と苦虫女』という映画がかなりよかった。

蒼井優が好きなのでアマプラで作品を見かけたらちょくちょく観るようにしているのだけど、彼女が演じる主人公の鈴子が「強い人間像」のキャラクターとしてあまりにも印象的だった。

 

ひょんなことから前科持ちになってしまう鈴子。誰にも迷惑をかけないよう「バイトで百万円貯まるたびに誰も自分を知らない所へ引っ越す」ことに決める。各地を転々としながら、面倒な人間関係を避けるように過ごすのだが…

 

そう、人間関係って基本的にはすごく面倒くさいものなのだ。だからこそ面倒くさくない人間関係は貴重だし、大事にしたほうがいい。

しかし鈴子はばっさりと人間関係を断ちながら、次へ次へと歩みを進めていく。

一期一会とかそんな綺麗なもんでもなくて、引かない、媚びない、顧みない。芯の強さなのだ。「強い女」なんてワードが先行しがちだけど、男だって憧れる。強い女になりたいボーイだ。

 

逆に、鈴子に寄り添う形で登場する森山未來は「弱い男」を演じるのが非常に上手い。世間の男性へのイメージなんて知らないが、男は存外弱い生き物なのだ。

世の中には優しい人といっても「余裕のある人」と「弱い人」とがいて、余裕のある人の優しさというのは寛容で包容的だ。

一方で弱さからくる優しさって、相手を傷付けないことに一生懸命で、自分勝手なエゴに映ることもあるけれど誰よりも相手のことを考えていないと為し得ない。傷付いたり、意図せず傷付けてしまったりしながら寄り添えるのが弱い人の優しさであり、愛すべき所なのだと思う。

作中の森山未來ってすごくダサくって、あーあーと思いながら観るのだけどすっごくカッケーんだこれが。ダサいって格好いい。大事な場面でダサくなれない男なんて、ちっとも格好よくなんてない。

 

二人ともどこか頼りなく、薄幸な雰囲気を纏っていて、脆くて、危うい。なんとも役の似合う役者だ。

観てよかったと思う。